2020年度未踏成果
https://www.ipa.go.jp/files/000090457.pdf
drinamiプロジェクト全体評価 https://www.ipa.go.jp/files/000090457.pdf
プロジェクト個別評価 https://www.ipa.go.jp/files/000090478.pdf
コロナ禍の中で遠隔講義は一気に広まった。しかしながら大きく問題となっ ているのが生徒間のコミュニケーションである。通常の対面授業であれば講義 で少しわからないことがあっても隣の学生に相談するということができるが、 それが困難になっているためである。実際基本的な事項の理解はオンデマンド 教材の方が効果はあるが、難解な事項に関しての理解が抜け落ちている学生が 増えたとの指摘が同僚の教員からも聞かれている。 クリエータの青山柊太朗氏は自ら学ぶ高校での授業の理解を高めることを目 指して当プロジェクトを発案した。成果物の Kineto は生徒間の疑似同期的なコ ミュニケーションを促す。そして生徒間の講義動画の進度の違いを徐々に同期 させる弾性同期という新たな発想で、疑似同期を実現している。この発想の独自 性は高く、恐らく関連する国際会議でも高く評価されるレベルであると判断す る。ただし、同期のための速度などのパラメータは今後ユーザスタディを通して 最適化する必要があろう。 クリエータの青山氏はほぼ自律的に開発を進めただけでなく、特筆すべきは 課題を抽象化し説明する能力にある。特に弾性同期のシステムを折れ線グラフ で明快に整理した点は、普段 PM が大学で指導している大学院学生と比肩しう る能力であると判断できる。一方でコロナ禍によりプロジェクトを実際のフィ ールドで実験することが 2 月初頭にまでずれ込み、開発したソフトウェアに十 分フィードバックできなかった点は返す返すも残念である。 青山氏自身の開発能力やプロジェクト期間中の成長を勘案すると、本プロジ ェクトもクリエータ自身もさらなる飛躍を遂げると信じている。
- ありがたいーという気持ち