価値
https://twitter.com/yosukeonishi/status/1401107140282961920?s=21
- よう分からんけどそのうち分かるかもしれんし有益そうなので貼っとく
Search
https://twitter.com/yosukeonishi/status/1401107140282961920?s=21
...はじめに 1-1. 背景 我が国の小学校では、[学習指導要領]]の改訂により2020年からが必修化される。 独立したプログラミングの科目を新設するのではなく、総合的な学習の時間、算数、理科を中心とした既存の科目の中で実施される。(文部科学省, 2017) 文部科学省(2016)はプログラミング教育はを覚えること自体を狙いとは定めていないため、より容易な「」や「」などの手法も使用される。 「小学校プログラミング教育の手引」にて[[文部科学省]は、新カリキュラム導入のねらいとして大まかに、 ① 「的思考」を育むこと ② 社会が情報によって支えられていることなどに気付くことがで きるようにするとともに、その技術を活用して身近な問題を解決したり、社会を改善しようとする態度を育むこと ③ 教科等の内容を指導する中て、各教科等での学びをより確実なものとすること の3つを挙げており、本論文ではこれらの内の「プログラミング的思考」を育むことに注目する。 1-2. 問題と目的 「」をどのようなで身に付けさせるについては、様々な研究・提案がされている。文部科学省(2018) は、一例として「正多角形の意味を基に正多角形をかく」という活動を提案している。児童は、正多角形の特性を理解し、「特定の長さの線を引く」「特定の角度に方向を変える」等の用意されているを組み合わせて正多角形を描画するプログラムを考える。また、プログラムを考える過程で「一辺を書く」という動きをして繰り返すという様に試行錯誤して改善ができる。他にも、 SPRK Editionを活用した「速さ」の指導事例 (中村,2016)、ビジュアルプログラミング環境「」を用いた簡単なゲームを開発する授業実践 (島袋, 小林, 久保, & 兼宗, 2018)等、多くの研究がされている。しかしながら、それを身に付けさせる事が本当に価値ある事なのかについて考察している研究は少ない。 プログラミング教育の導入にはコストと時間をかける必要がある。環境の整備充実を図り、より望ましいプログラミング教育を行うために2018年度から5年間、単年度1,805億円の地方財政処置が講じられる。(文部科学省,2018) また、文部科学省(2018)は、「プログラミング的思考」は「短時間の授業で身に付けさせたり急激に伸ばしたりできるものではない」と説明している。 そのため、プログラミング教育を本当に必修化すべきであったのかを検討すべきである。そこで、本論文ではリサーチクエスチョンを「プログラミング的思考を身に付けさせる教育に価値はあるのか」と設定する。 1-3. 定義 文部科学省(2016)は「プログラミング的思考」について「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要 であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを的に考えていく力」と説明しているため、これを本論文では「プログラミング的思考」の定義とする。 また、小田(2018)はプログラミング的思考の内容を整理し、以下の4つの要素を挙げている。 : 大きな動きを解決可能な小さな動きに分けること 化: 目的に応じて適切な側面・性質だけを取り出し、他の部分を捨てること。 : ものごとの類似性や関係性を見出すこと。 : 目的に合わせて試行錯誤しながら、明確でより良い手順を創造すること。 これら4要素を、本論文ではプログラミング的思考の要素として扱う。 1-4. 先行研究 文部科学省(2016)は、プログラミング的思考の価値について、「急速な技術革新の中でプログラミングやの在り方がどのように変化していっても、普遍的に求められる力」「どのような進路を選択しどのような職業に就くとしても、これからの時代において共通に求められる力」と考えている。また、プログラミング的思考の育成により、各教科等におけるの論理性も明確となっていくと説明している。 プログラミング的思考を教えることの価値に関する研究の一つに、赤堀(2017)のプログラミング的思考と他教科に必要な能力の相関についての調査がある。。大学生を対象に、流れ図()の問題、画面を設計する問題、そして他教科として国語、算数、理科、社会の問題を用意し正答率を調べた。その結果、流れ図の問題と数学・理科の問題の正答率に相関がみられ、設計の問題と国語・社会の問題に相関が見られた。また、プログラミング的思考に関係のある流れ図と設計の問題にも強い相関が見られた。この結果から赤堀は、プログラミング的思考は他教科のと関連するような総合的な論理的思考であると推測した。 Román-González, Pérez-González, Jiménez-Fernández (2017)らは、Computational Thinkingの問題として迷路の問題を用意し、で用いられる知能テストとの相関を調べた。その結果、最も大きい相関が見られたのは認識能力と推論能力、次が言語能力、そして相関がなかったのが計算能力であった。 いままでこのような心理学的なアプローチによる調査や研究はされてきたが、哲学的な考察は少ない。また、過去の心理学的アプローチによる研究にも法的な考察は見られない。よって本論文では的・[[法]]的に「価値のある教育」を定義し、「プログラミング的思考を身につけさせる教育の価値」について考察する。 2. 哲学的考察 学問を正しく探求するための方法は、の、の『』等、長きにわたって哲学的に研究されてきた。本論文の哲学的考察では、価値のある教育を「を正しく探求するための方法を身に付けること」と定義する。 本考察では、プログラミング的思考を先述の小田(2018)が挙げた4つの要素(分解、抽象化、一般化、組み合わせ)に分解して考察する。 2-1. 分解 Descartes(1637)は、『方法序説』にて物事を論理的に検討するための規則の一つとして「わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分解すること。」を挙げている。これは、プログラミング的思考における「分解」に等しい手法であると言える。 2-2. 抽象化 哲学者のBacon(1620)は、哲学を論理的に探求するために『ノヴム・オルガヌム』にて「法」を提唱した。法では一般原理を用いて論理的に物事について結論を出すが、帰納法では個々の特殊な事実から共通する性質を取り出し、一般的な法則を導き出す。これは、プログラミング的思考における抽象化でも見られる手法であると言える。 1-2にて前述した文部科学省(2018)の「正多角形の意味を基に正多角形をかく」活動においては、様々な正多角形に共通する性質を抜き出す事が抽象化となる。 2-3. 一般化 Platoは現実界に存在する似像を抽象化し、それをイデアールな存在であると考えた。前述した正多角形をかく活動においては、正三角形、正四角形等をかくプログラム ()の共通点を抽出 (抽象化)して一般化するプロセスは、Platoの論に近いと言える。 また、一般化を用いたプログラミング手法である「」とAristotleによる「」という概念の間の類似性も指摘されている。(永嶋, 2009) 2-4....